コレステロールが高いとメタボリックシンドロームをはじめ、死亡率が高くなり、危険だというのは常識になりつつあります。一方でコレステロールが低すぎるとやはり問題だ。という調査が富山大学の浜崎智仁教授の研究であきらかにされました。これは以前からも各国で報告されていることですが、改めてそれを裏付けるデータが17万人の疫学データからとれたということは画期的なことです。
血液100ミリリットル中の総コレステロール値が160以上200ミリグラムを基準とするとそれよりも総コレステロール値の低い人の死亡率は男性で1.6倍、女性で1.4倍になることがわかりました。特にコレステロール値が200ミリグラム以上の人では、死亡率は上昇することなく変わらなかった。ということです。ただし、このデータを全部信用することは少し問題があるかもしれません。
なぜなら、このデータをとった17万人は富山県を中心とする一般市民です。そこに住む人達は欧米人や若い人や肉食大好き人間の総コレステロール値の高い人とはちょっと異なった人間のグループだからです。肉食が多くて総コレステロール値が高いグループは世界中のデータで死亡率が高くなることは常識になっています。このデータではそれを覆していますが、普段から魚をいっぱい食べてDHAやEPAなどコレステロールが高くてもそれらのコレステロールが酸化せず、固まりにくく血液もサラサラ状態であれば、コレステロールが悪さをすることがないと考えられるのです。
それではコレステロールが低いとどんな危険があるのでしょう。一番の問題はコレステロールから副腎皮質ホルモン、つまりストレスホルモンが作られているということです。私たちはストレスに負けた時に病気になり、ガンにもなります。それを防いでくれているのが副腎皮質ホルモンですが、この副腎皮質ホルモンの材料がコレステロールです。したがってコレステロール不足になれば、まずストレスに弱い人間であるということがわかるでしょう。年をとっても細胞の材料になるリン脂質やコレステロールをしっかりとることは一つ一つの細胞が次々に新しいものに作り替えられていくために必須の物質です。
卵はコレステロール食品ですが、これはとても大切です。納豆に卵、ねぎなどを入れた朝食メニューはコレステロールを適度な状態に保ちつつ、高タンパク食品として全身の細胞を若返りに導く安くて素敵な食品だと改めて考えさせられます。