2月から3月にかけて起きた餃子事件の後遺症なのでしょうか。中国産の食品の輸入が現在、28%減になっています。これは金額にすると216億円の減少です。中国製品が怖いという偏見は異常な盛り上がりを見せているのには驚かされます。「中国野菜だから怖い」「日本野菜だから安心」と簡単に言い切ってしまってよいのでしょうか。
従来では、中国からの野菜の輸入量は1990年の25%から2006年には57%と全体の約6割に達しています。これらの野菜の輸入は業務用で使われる野菜も多いようです。たとえば漬け物などは、ほとんど中国製品です。名前を聞けば誰でも食べたことのある漬け物もその中に入っています。
そのように考えた時に日本の農業をもっと真剣に減農薬、無農薬の方向にひっぱるだけでなく、やはり国内総生産として食料自給をしっかり立て直そうという大きな流れになっていかなければならない時期ですが、実際には野菜の生産は米の生産に比べると国からの補助金がなくて、日持ちが悪く、箱代、流通コストなどを差し引いた生産者の取り分か非常に少ないのが現実です。

しかも、豊作となればあっという間に値段が生産者の期待の半分から1/3以下におさえられて、収穫すらやめて農地に捨ててしまうこともよくある現実です。また、大規模農家が日本ではなかなか機能しないということもあります。畑作の耕地面積がまだら状、モザイク状、大きな面積が確保できないのでそこでできる集約的農法(アメリカのように大型トラクターで耕す)などには不向きな状態です。
さらに日本の野菜は長い間ずっとハウス栽培を続けてきて、非常に知力が低下しているので、野菜の根から吸い上げるミネラル成分やアミノ酸成分が少なく、逆に発ガン性物質になりやすい亜硝酸態チッ素が多く含まれるようになっています。
また、生命である野菜は土から吸い上げる栄養素が少なければ、太陽を浴びて作り出す光合成の結果のブドウ糖やビタミン類も少なく、香りとしての成分も作り出すことができなくなっています。この香り成分とは人間にとっては野菜のフレッシュさを感じさせるおいしい香り、心地よい香りでありながら、一方、野菜を食べ尽くそうという病原菌にとってはそばに近づけない病害虫の忌避剤の役目も果たしています。だから、生命力の弱った野菜は甘みもなく、香りもなく、繊維も少なく、また抗酸化力も弱いのでちょっと置いておくだけですぐに柔らかくなって腐ってしまう野菜です。野菜に対して私たちはもっと真剣に学んでいく必要がありそうです。
中国では日本や海外に輸出する野菜に対しては国内で一般大衆が食べる食べ物に比べ、相当、注意を払って農薬を選ぶような傾向になっています。今回の事件ではすでに餃子製造工場がそのように選ばれ、そのように管理された誇るべき工場の中で起きた人為的な作為に基づく毒物混入事件であり、(多分そうであると両国の政府は思っているはずです)本来ならばとてもレベルの高い安心、安全を標榜することができる餃子だったのです。世界の食糧自給がここに来て急激に悪化し、食物の取り合いが本格的にはじまろうとする今日、日本が野菜を輸入しなかったとしたら、中国が困るかどうかを考えるべきでしょう。
所得水準が上がってきている中国では、輸出用でより安心、安全な野菜、肉、果物、冷凍餃子は都市住民にとってはこの上なく、買いたいもの、買いたい野菜ということで、日本に輸出する分は中国国内需要で十分に利益を稼ぐことができるはずです。逆に言うと日本はその分をしっかりと国内生産でまかなうようにしっかりと視点を変えないと国内野菜の値段は一年以内に3、40%上がってしまうことが当然の結果として予測されるのです。
国内産の有機農法の生産物は約4%程度。これは穀類を含んでの数字かもしれません。いずれにしても中国も日本もこうした事件を通してより発展的により前向きに自国のことを見つめ直し、新しいアクションに移すことができるチャンスが来たのだと考えてよいでしょう。