haru.

メトロポリタンオペラ 始皇帝

 このオペラはニューヨークで初演されている、21世紀を象徴するかつてないスケールとスペクタクルを兼ね備えた、北京発のグローバルなオペラです。NHKBSハイビジョンで見ました。前にもほとんど終わりかけるところを5分みただけで興奮するほどインパクトがあったので、3.5時間の長編を今回は十分に堪能しました。

 作曲とオペラの指揮は中国人のタン・ドン。なにしろ、天才を世界から集めてつくったぜいたくなオペラです。主役に、プラシド・ドミンゴを起用しているところもすごいし、京劇の天才が舞台回しででています。それにヒーローという映画でハリウッドをうならせたチャン・イーモウ監督が、ストーリーから演出、そして衣装やら舞台装置まで総監督しています。二人の天才中国人と巨大なお金をかけたかつてないスケールだとニューヨーカーもショックを受けているに違いありません。

shikoutei.jpg

 最初見たときに、始皇帝を暗殺にいったスパイ映画の「ヒーロー」に舞台装置や、衣装、色彩、音にいたるまで、ひどく似ているなあという印象でしたが、やっぱりチャン・イーモウでした。何しろけた外れのコンテンポラリーなオペラで音楽も映画のそれと同じで、古い中国のファンタジーを入れながらも、決してださくなく、完璧に西洋人が感嘆するエッセンスをこれでもかと入れてあり、ツボを心得ているなと感心しました。これではニューヨークでの日本の歌舞伎も歯がたたないほどです。

 世界が今、中国に熱い思いを抱いているのを知りつつ、世界中のアーティストがここにケミカルりアクションを起こしている、、まさしくそんな時代のオペラ。 このオペラは英語です。ドミンゴに打診した数年前ですら、本人の声が出たら、、、というリスクを越えてチャレンジしているところもスゴイ。 そして、ドミンゴの人生でオリジナル書き下ろしの主役を英語で演じるのもこれが初めてだとか。

 オペラの歌い方ですら随所に京劇の発声やら音階がでてきて、それを世界中のオペラ歌手がこの新しい音階、幅広く音の移動する歌い方にチャレンジしているところも楽しい。皆、歌いなれたパートではないからとても緊張しつつ、テンションが高いのもきっとそのせいでしょう。秦の始皇帝時代の打楽器は陶器だったということで壺を楽器としてつかう、太鼓を石でたたきその石を両手ですりあわせて新しい、古い?音を発明するなど天才らしい音作りも素晴らしい。

 それにしてもドミンゴ70歳でよくこの舞台で衰えをみせず、最高の舞台をみせたことにも驚き、人間同士のケミカルリアクシションで奇跡も起こるのかと思わされました。すごいオペラ・・・ぜひ、本物を見に行きたいものです。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://haru.dr-sugahara.net/mt/mt-tb.cgi/774

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)