「ビッグイシュー」という本を知っていますか?ビッグイシュー日本版は今年で四年目を迎えるホームレスが本を販売しながら自立することをサポートしている国際的な組織に基づく雑誌です。

大都市もしくは、地方都市のどこかでこの本を販売しているホームレスの人を見かけるかもしれません。私はこうした人に出会うと四冊くらいを買うことにしています。一冊は自分の手元に、残りは知人や友人に配り、ビッグイシューの存在を知らせることにしています。
ビッグイシューは1991年にロンドンではじまったビジネスモデルです。従って、冒頭に登場するのは国際的な俳優やアーティストで記事の中身も非常に濃いものです。たとえば、77号、今年の8月号はアンジェリーナジョリーの「平和省を作る」。その次の号がU2のボノが登場し、「アイデアと革新と社会的企業の台頭」を語っています。その次の79号がキャサリンゼタジョーンズ、80号がレニーゼルヴィガー、81号がボンジョビ。そして82号、ちょうど発売日ですがこれがジョディーフォスターの特集です。こんな超一流スターが冒頭で出てくる週刊誌や月刊誌は国内で手に入れることは不可能でしょう。なにしろ彼らのギャラが高すぎるのでめったに登場しないからです。立て続けに世界のビッグアーティストが登場すること自体が奇跡的な雑誌だと思いますが、それはひとえに彼ら自身が無料でこのホームレスプロジェクトをサポートしようという熱意があるからです。私はこうした雑誌を手に取るたびにこれらのビッグアーティスト達のすばらしい生き方、生き様に、感動してしまいます。
ところでこの本の成り立ちですが、日本では有限会社ビッグイシュー日本の佐野章二さんがホームレスの社会復帰と自立をサポートしようと四年間がんばってこられた組織です。当初、100%失敗するよと専門家から言われながら、「失敗もしなかったけど成功もしてない思いをかみしめながらがんばってきた」と発言されています。四年間で日本にいるホームレスのうち669人が販売者に登録。58人が家を持てるところまで自立できたというのは小さいけれど大きいことだと思います。実際にはホームレスの人にこの本を売って自立を促すこと、つまり販売員になってもらうこと自体が大変なことだということを編集者の人に伺いました。ホームレスの人は内気で人前に立って声を出すことがとても大変なハードルを越えることであると感じているのです。それより、一人でモクモクと空き缶を拾っている方がいい。一人で黙々と雑誌を回収している方がよいと考える人が多いようです。人前に出るからには洋服などにも気を使わなければいきないことも大きなハードルだそうです。
今の日本社会の先行きを考えるとホワイトカラーからも35年もの長すぎる住宅ローン破産でホームレスに落ちていく人も少なくないと考えられます。今、毎日インターネットカフェで寝泊まりしている人も持ちこたえられなくなったらホームレス生活になる可能性があります。そう考えると、この社会からのセーフティネットとしてビッグイシュー日本をもっともっと成功させていくことには大きな価値があると思います。むしろ、私たちが人間としてたこつぼ生活で他人の生活への共感や想像力を失ってしまうことはとても恐ろしいことです。
ビッグアーティスト達の美しくて意志的な表情をビッグイシューで見るたびに少しでもこうした人たちへの美しさと人間としてのスケールにふれるためにもビッグイシューはすばらしい素材です。
11月からこの雑誌は300円になり、160円が販売者であるホームレスの収入になります。今までは組織のビッグイシュージャパンの方が90円、そしてホームレスが110円の収入のところがこのたび変更になりました。この金額は少し高いかもしれないけれど、なおいっそう多くの人が街角でこの本を買うことを心から祈っています。そして、一人でも多くのホームレスの人が販売し自立してホームレス生活を終止符を打っていけることを心から期待しましょう。
◆非営利団体「ビッグイシュー基金」
http://www.bigissue.or.jp/