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吉村作治先生の早大エジプト発掘40年展

 吉村作治先生率いる、早稲田大学古代エジプト調査隊の活動40年を記念して早稲大学の会津八一記念博物館で大エジプト展が9月9日まで開催されていました。私も先日、早稲田大学の門をくぐってじっくり見学させていただきました。

 私がナビゲーターを務めるBS朝日の30分のトーク番組に吉村先生に出演していただいた6月、その時にも発掘40年展のことに触れられていて、とても楽しみにしてました。現在の世界でこれだけのスケールと情熱と科学性、そして緻密さと大胆さを兼ね備えた仮説を立て、それを検証するために発掘をし続けてきた科学者は二人といないと私は思っています。

 発掘調査というのは、科学と考えない人が多い気がしますが、ただ、掘れば出てくるというものではなく、掘る場所をピンポイントに絞り込むための多数の前処理が必要です。現地とのネゴシエーション、科学技術を使った電磁波測定や、宇宙からの衛星写真での絞り込み、そして、もちろん歴史的な場所の変遷を各時代ごとに抑えて考古学的な視点からの絞り込みもあるでしょう。それらを踏まえたうえで40年間の間に発掘した5カ所からの多くの成果が今回の発掘40年展に展示されていました。

 吉村先生のピラミッドの左右対称の仮説検証の結果、誰も考えなかった第二の太陽の船を電磁波測定で確実に検証しきったことが感動的な奇跡としてあげられます。私たち日本人は子供のころからギザのピラミッドのことは映画や展示会や多数の読み物を通して非常に身近なものとして感じてきました。それが身近であればあるほど、もはや20世紀後半に新しい発見などもはやありえないというのが無意識の中に刷り込まれていた常識だったと思います。ところが吉村先生は、その常識を打ち破って、ピラミッドの入口は左にずれていることから、ピラミッドの左右に対称の装置があるはずだという仮説を打ち立て、太陽の船が発掘されたその反対側から誰も予想しなかった第二の太陽の船を見つけてしまったのです。

 なによりも私自身がワクワクしているのはギザのピラミッドの中にある急勾配の大回廊がただの階段ではなく、死者の魂がエネルギーを得るための装置で、死者の魂のエネルギー体がまるで蛇のようにあの大回廊を上下にうねりながら、振幅運動でエネルギー強化の振動を起こしているという仮説を打ち立てました。それゆえに吉村先生はこの大回廊はあのギザのピラミッドの内側の右側に左右対称にもうひとつあるのだと仮説を立てています。それを検証して穴を掘るにはエジプト政府の許可がいるのでペンディングになっているのです。世界遺産に穴を掘る。ということはそうやすやすとは許可されないでしょう。現在以上に優れた光学機器でまるでCTスキャンのようにテラヘルツの光を照射してピラミッド内部の左右対称性がしっかりと目に見える形で証明されたらいいのになぁと思います。
 考古学会で誰が何を発表するのかというのはやはり戦いですから、発掘の中には汗のにじむ何十人も何百人も従えたお金と時間との戦い、時にはずるい現地の役人との戦いやら、ほかの発掘調査隊との縄張り争いやら、いろんなことを勝手に想像をします。しかし、そんな中今回の発掘の結果出てきた250点のすばらしい展示物はどれ一つとってみても第一級の芸術であり、考古学上のエポックメイキングな成果物だと感心させられます。

 吉村先生を大尊敬してしまうのは、多くの後輩を育てられたこと、そして、欧米の調査隊が発掘した成果物を一部の金持ちに売り渡したり、海外に持ち去ってしまったり、ばらばらにしてしまう中、まったく新しい方法をとらえたことです。それは発掘物をエジプト国家の文化的遺産とし、保存研究の資源とされたことです。このことは、欲得絡みや少しでもお金に対する執着があれば絶対できないことです。吉村先生は死ぬまでそうしたことに縁のない無欲の大欲をもった人だと思います。だからこそ大勢の人に尊敬され、そしてエジプト政府から絶大なる信頼を得ていることは納得できるでしょう。

 私たちは常日頃、難しいはずのエジプト史をわかりやすく、楽しくテレビから理解することができているのは、吉村先生が時折、特番を企画されているからです。それは日本人のすべての人たちを巻き込んで胸をワクワクさせる番組に仕上がっています。それは吉村先生の気さくで楽しい人柄と愛嬌のある御顔立ちから受けるものや、とてもわかりやすい説明から来ているものでしょう。私たちがひとつ忘れがちなのはこれらの成果が世界一の考古学科学者を日本に生きているという事実です。ノーベル賞がこのジャンルには与えられないということがとても残念ですね。もし、この賞のジャンルがあれば必ずノーベル賞をもらっているのは間違いないはずですから。

 ひとつの発掘には5年~10年かかります。そして、何も出てこないケースが多いと思います。そう考えるとたった40年で掘り出したこれらの展示物は100年分の発掘に相当する気がします。


■吉村作治の早大エジプト発掘40年展(終了)
http://www.egypt.co.jp/egypt40/tokyo.htm

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