<油を構成する脂肪酸>
水の分子は水素と酸素でできているのは御存じの通りですが、皆さんは油の分子については御存じでしょうか?
油は3つの脂肪酸がグリセリンにくっついた構成になってます。そして油脂を構成する脂肪酸の種類と量を知るには油脂を加水分解して化学反応が起こし、脂肪酸とグリセロールが得られるので、これを分離して分析します。脂肪酸は食品から摂取する他にも体の中でも作られ、人間の場合は多くは肝臓の細胞中で脂肪酸が作られています。
図 2.1 脂肪を構成する成分
脂肪は3つの脂肪酸(R1,R2,R3)とグリセリンが結合してできています。脂肪酸には色々な種類があり、脂肪がどの脂肪酸の組み合せでできているかで、脂肪の性質にさまざまな違いが出ます。
<飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸>
脂肪酸は複数の水素と炭素がチェーン状になって結合していて、この鎖は絶対に最初の部分に水素、最後の部分に酸がついた構成になっていて、生体中の脂肪酸の多くは、炭素の数が偶数であるということがわかっています。
普段よく良く聞く飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸の違いは、炭素と水素の結合の違いによるものです。炭素は普通4つの手を持っていますが、その4つの手のうち2つを隣の炭素とつなぎ合い、残りの手を水素と結びます。このような形で構成されている脂肪酸を飽和脂肪酸といい、全ての生物は体の中で飽和脂肪酸を作ることができます。また、飽和脂肪酸は化学変化を起こしにくく、更に飽和脂肪酸は鎖が短く、短いほど常温で固まりやすくなります。脂肪酸の中で鎖が最も短いのは炭素を4つ持ったもので一おもにバター(酪酸)の油に含まれています。このほか炭素数の少ない順に、ラウリン酸、パルミチン酸、アラキジン酸などがあります。炭素数が26と最も多いのはセロチン酸で、セロチン酸はおもにミツバチの巣からとれるミツロウに含まれています。
不飽和脂肪酸
酪酸 CH3(CH2)2COOH
ラウリン酸 CH3(CH2)10COOH
パルミチン酸 CH3(CH2)14COOH
ステアリン酸 CH3(CH2)16COOH
アラキジン酸 CH3(CH2)18COOH
これらの飽和脂肪酸に対して水素の数が足りず、その分だけさらに炭素が炭素と手をつないで二重結合を作ってしまうものを不飽和脂肪酸といいます。この二重結合は、1つのものもあれば2つ、3つとたくさんあるものもあります。不飽和脂肪酸のうち、二重結合が1つのものを一価の不飽和脂肪酸といい、これは飽和脂肪酸からつくられます。また、2つ以上の二重結合があるものを多価不飽和脂肪酸と呼んで、大体、体にいいとされているものは多価不飽和脂肪酸です。多価不飽和脂肪酸を二重結合の数が少ないものから順に挙げると、リノール酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸などがあります。
図 2.2.1 酪酸の構造
(a)酪酸は4つの炭素原子で骨格ができています。炭素原子はそれぞれ4つの手を持っていて、となりの炭素と鎖状につながっています。 (b)炭素原子や水素原子を全て描くと見にくいので、普通は下のような省略した構造式を使います。
図 2.2.2 リノール酸の構造
リノール酸には2ヶ所二重結合があります。