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サーベイと報告

菅原「今、鳥インフルエンザから新型インフルエンザのパンデミック[世界大流行]を食止める具体的な方法に関して少し話がでましたが、新型インフルエンザに対するWHOが今考えている、具体的なもっとも効果的な水際作戦というのは何ですか?」

岡田「サーベイと報告の2つです。つまり、鳥が集団で死にはじめたら、すぐに調査に、その担当の部署の人が行って調査する、そして報告を集め国の厚生省に相当する機関なり、さらにはWHOにその情報を集めることです。」

菅原「NHKのクローズアップ現代を見ていて驚いたのは SARSの時は世界で最も聡明な対策を採って一人も死者をださず、他の国から注目されたベトナムが今回の鳥インフルエンザではその経験があるにも関わらず、死者をだしていることです。あのときの優秀な医師は使われていない学校に感染患者を速やかに隔離収容し、そしてウイルス濃度を下げる為に窓を開けて、それが成功したのですよね。今回はそれが生かされないのはそれだけ鳥インフルエンザは特別なのですか?」

岡田「そうとも言えるでしょう。一つには小規模に鳥を飼っている場合発見が遅れてしまうこと。それから鳥インフルエンザに関しては利害があります。養鶏業者にとってはとても大きな資本を投下して大規模な借金をして経営しているところが多いですから、SARSのように人間だけに関わる問題ではないのです。それと担当部署が鳥であればどの国でも農水省の管轄、そして人間にかかわる感染症は厚生省が管轄。つまり2つの省に跨っているのは日本だけでなく、世界共通です。そんなところもSARSと違いがあると言えるでしょう。」

菅原「リーダーシップが強いところ。それから人へのメディアを通した教育。第3に、養鶏業者のレベルで鳥インフルエンザらしいものが発生したらすぐに保健所に申し出て鳥を全部処理する。また、その近隣の車の出入りの制限を徹底するなど日本でも2003年から2006年までの間にこうしたことを経験し、鳥インフルエンザから新型インフルエンザへ変わることを今までは完璧にやっているわけですけど、これには本当にリーダーシップも必要だけど一方で自分の身を犠牲にしなければならない養鶏業者の方々の速やかな報告という協力がなによりも大事ですね。そこのところに養鶏業者の方々が協力できる教育は充分、徹底されているのでしょうか?」

岡田「それが充分とはいえませんね。私が鳥インフルエンザに関して昨年も河出書房から「鳥インフルエンザの脅威」という本を出しました。これは養鶏業者の方々が何億円もの借金を抱えながら一生懸命頑張ってまじめに仕事をしているのに何故自分の鶏舎の鳥を全部殺さなければならないのか、その理由がわからない。という人が多かったのです。そういう人たちへの理解を促す意味でもこの本を書いて、200冊以上、様々な関係者の方々に私の方から献本しました。でも鳥インフルエンザに対する一般の方々の興味はあまりなくて、それほど多く読まれていません。」

菅原「私は図解入りでとても大きな字でかつてないくらい難しい鳥インフルエンザのウイルスの話やその仕組みの話が理解できて凄くありがたかったですよ。そういえば、あの本の中で特に印象的だったのは、第一次大戦の1918年にスペイン風邪と呼ばれた第一次大戦を終らせるほどの猛威を振るったあのインフルエンザが実は新型インフルエンザだったと書いてあったところです。」

岡田「そうです。あの時のインフルエンザで世界中で5億人が感染し、その内4000万人がこの新型インフルエンザで死亡しました。特に免疫力が高いと思われている20代から30代の人たちがあっけなく、死亡しその年齢の死者がその人口の10%にも達したことです。ですから第一次大戦後、労働力不足が結構深刻だったのです。」

菅原「日本でもそれは、凄い脅威だったのですよね。何人くらい死亡したのですか?」

岡田「日本では45万人が亡くなりました。家族全員亡くなったとか、一人だけ残ってどうしていいかわからなくなって自殺したとか発狂したとか色々なケースが調べてみるとあるのです。このときのインフルエンザウイルスのタイプはA型のH1N1型でした。」

菅原「こうして大流行を経験したインフルエンザのウイルスに対して私達はある程度の免疫をもっているけど、これからパンデミックを引き起こすA型のH5N1には何の免疫をもっていないということですよね?」

岡田「そうです。1918年当時と今とを比べると世界人口も3倍近くなっています。しかも、世界の交通手段は当時とは比較にならないほどのスピードとボリュームです。しかも、地球の面積は変わらないのに人口が3倍というのはそれだけ、お互い住んでいる場所の人口密度が凄く高くなってしかも、人が感染しやすい電車とか飛行機、病院、学校、映画館、デパート、地下の大型ショッピングモールなど、とてつもなく感染しやすい場所も増えているわけです。」

菅原「2002年から2003年に流行したSARSでもたった一人、中国南部から香港に入った患者の足取りから数日のうちに世界中に広まってしまいましたよね。これなんかも、飛行機で移された人が多くて、うつした人をスーパースプレッダーとよびましたけど、一人で何十人もの人にウイルスを撒き散らしていたことが後からわかって本当にゾッとしました。そういう意味では今回の鳥インフルエンザから新型インフルエンザが一体どこの国でウイルス変異するのかそして、その人から人への感染をスムーズにしてしまった新型インフルエンザに感染した人が、もしも高熱を出しながら仕事で飛行機を使ってあちこちと移動すればあっという間に世界に広がるのですね。」

岡田「今日では高速で大量輸送の交通機関が発達しているので、4日から7日で新型インフルエンザが世界中に広まり、2ヶ月から4ヶ月で第二波、第三波が襲ってくるとシミュレーションされています。」

菅原「それでは日本の国の中で一生懸命、鳥インフルエンザ対策を頑張っていても、アジア、アフリカのどこかの国で保健所や厚生省の整備されていない国の片田舎で発生した新型インフルエンザが空港からやってくることも充分頭にいれなければならないですね。」

岡田:そのように考えられるでしょう。

菅原:日本の空港の検疫は意外と甘い気がします。先日アメリカのテレビニュースでやっていましたが、今現実にハワイを中心として空港の検疫システムを非常に強化している。実際に新型インフルエンザはハワイ空港の様にアジアから人がどんどん入ってくるところで水際作戦をとることが最も大事と考えているそうです。だから、アメリカの航空会社を中心にアメリカに入ってくる飛行機の中で明らかに体調が悪く、熱を出し、咳をしている人は飛行機の中から乗務員がハワイ検疫、その他の主要な飛行機が着陸するエアポートの検疫事務所に事前に連絡を入れる。そして、その人の咳の原因が新型インフルエンザウイルスかどうか6時間以内にCDCから派遣された専門家が分析する。新型インフルエンザの疑わしい人は空港内の隔離医務室に入るのですが、そこに行くまでの通路も一般客とは別の通路を通る。しかもこの6時間の間は咳をする疑わしい乗客と同乗した200名以上の乗客は専用の隔離待合室に6時間留め置かれる。もし、この疑わしい乗客が新型インフルエンザであれば、同乗した乗客は最低一週間隔離され、アメリカの土を踏むことができないようにすでにシステムが既に完璧に捕らえている。このニュースによると新型インフルエンザがどこかの空港がたった一人でもアメリカに入るとコンピューターを使ったシュミレーションで一人1日5回は駅や会社など集団と接すると仮定するとアメリカ全土の人がもれなく新型インフルエンザにかかるのに3ヶ月であるとコンピューターのマップに増加していく患者数をプロットしながらみせていました。こういうことが既にテレビでほとんど毎日報道されることに意味があると思います。日本ではそうした危機感をあおるようなニュースが全く報道されていないことに問題ありますね。ニュースが偏りすぎている気がします。

岡田:テレビのニュースや報道番組でもっともっとわかりやすく、もっと頻繁に情報を流してもらいたいと思います。

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